第2話:月明かりと片目で見つめた世界
KOXLO AI Studio

雪が止まった夜空はガラス玉のように透明で澄んだ。灰色の雲が歩くと、丸くて冷たい冬の満月が姿を現した。純白の雪で覆われたソウル城北洞韓屋と赤レンガ住宅の屋根が銀色の月明かりを受け、まるで巨大な氷宮のように涼しく輝いた。蝶は古い2階の洋屋のスレート屋根の角に静かに座っていた。足元に溜まった雪がバスラクと凍りつく音が静かな夜の静的を破った。やつのひとつだけの右目、澄んで深いエメラルド色の瞳に真っ白な月の影がそっくり映った。 '月明かりの下で一人で座って、
半分の世界を眺める。輝くその月は完全ですが、
私の目はどうして半分なのか。失われた左目を超えて
見えない記憶が通り過ぎる。その日の悲鳴、冷たいピット、
そして懐に抱かれた小さな息吹…」 蝶は夜空を見上げて悔しい泣き声を飲み込んだ。猫にとって視点は生存のすべてでした。二つの目で立体的な距離を把握しなければ、狭い壁の上をすっきりと疾走することができ、虚空を飛んでいく鳥を釣り、サッと走る天敵の攻撃を素早く避けることができる。だが3年前、その悲劇的な冬夜以来蝶の世界は半分に割れてしまった。左の視野は永遠の漆黒の暗闇だった。頭を完全に左に回さなければ、そちらから何が近づくのか全く分からなかった。
初めてしばらくはその恐怖のために一足跡も離せなかった。壁に頭をぶつけてしまったし、高低を間違って測って屋根から転がって肋骨を傷つけたりもした。しかし時間は流れ、命は絶望の中でも道を見つける方法だった。片目を失ったのではなく、蝶の他の感覚は以前よりも10倍以上に鋭く目覚めました。右目一つだけで物の細かい色合いと光の屈折を読み取る方法を学んだ。雪片が風に吹き飛ばされる角度だけを見ても風の速度と気圧の変化を知ることができ、屋根瓦に結ばれた月光の影の長さで時間の流れを撮影できるようになった。
それだけでなく、耳は夜の霧の中でミミズが土を掘る微細な音までつかみ、鼻は500メートルの外で沸騰している魚のチゲの臭いを見分けた。ひげは空気の微細な流れと振動を感知するアンテナとなり、目に見えない左空間で迫る危険を本能的に警告してくれた。
「ニャオン…」
蝶は屋根の端に慎重に近づいて下を見下ろしました。路地はネズミのように静かだった。街灯の光だけがオレンジ色の円を描き、雪が積もった道を照らしていた。人々はすべて厚い防寒カーテンを打ち、オンドルルームのぬくもりの中に体を埋め込んで眠っている時間だった。この時間だけは長猫たちの時間だった。日中、人間の叫びと自動車のホーンに追われ、暗闇の中に息を呑んでいた小さな魂たちが一つずつ姿を現した。あの遠くの塀の上にスリムな三色猫一匹が慎重に歩いて行っていたし、食べ物ごみ箱のそばでは尾が切られたタキシード猫が凍った白菜のコツリを追っていた。
彼らは互いに目が合うと、軽く尾を持ち上げて雪の挨拶を渡した。言葉一言混ざらなくてもお互いの目つきの中で同じ立場の高さと慰めを読むことができた。 「生き残った、友達よ」
「うん、今日も生き残った」
それで足りました。道の上の人生は途方もない未来を夢見るのではなく、今夜の寒さに耐えて明日朝の日差しを迎えるだけでも偉大な勝利だったからだ。蝶はゆっくりと屋根に乗って降りてきました。煉瓦塀を踏み、古いエアコン室外機の上にひっくり返した。クンという音さえ出ない完璧な着地だった。たとえ片目だったが、やつのしなやかな筋肉とバランス感覚は依然として全盛期時代の切れ味を大事にしていた。路地の底に降りると、冷たい目が毛の間に掘り込まれた。
蝶は目的地があった。さっき昼から風に乗って流れ出てきたその甘くて暖かい香り。丘の下の三通りに位置する赤レンガの建物1階の小さなパン屋、「クリスマスパン」。蝶は狭い路地を慎重に歩いて下った。日中は人々の目を避け、暗い下水口の穴やボイラー室の隙間にしか通らなかったが、深い夜には堂々と道の真ん中を歩くことができた。真っ白な雪の上にコックコックを撮る4つの足跡。その足跡の後ろに蝶の長い尾が優雅に揺れた。三叉路に近づくと、暗い路地とは全く違う幻想的な光景が目の前に広がった。
パン屋の前庭には小さなクリスマスツリーが建てられていたが、とても甘いガラス玉と金色のリボン、そしてほのかな光沢のある松ぼっくりの照明が目を当てて眩しい光を吹き出していた。店の看板には筆記体として「クリスマスペイン」という文字が暖かい木の彫刻の上に刻まれていた。フランス語で「パン」はパンを意味した。つまり'クリスマスのパン'という意味だったが、同時に英語では'苦痛(Pain)'を意味したりもした。もちろん蝶は人間の文字を知らなかったが、その店から流れ出る臭いだけは気が狂って見分けることができた。
ガラス窓越しに暖かい黄色の光があふれ出ていた。店内ではすでに明日の朝、客に出せるパンを練って焼く作業が盛り上がっているようだった。蝶は足音を殺し、店の前に大きなガラス窓の下に近づいた。ガラス窓の下側には白い城江が雪の花の形で凍っていたが、その隙間で店内の風景がはっきりと覗いた。店内は蝶が一生見てきたどこよりも暖かく平和に見えた。壁面いっぱいに陳列された茶色の原木棚には焼きたてのバゲットと丸みを帯びたビックリ、焼きたてのクロワッサンが並んでいた。
中央の大きな製パン台の上には白い小麦粉が雪のように振りかけられており、巨大なステンレス製オーブンでは赤い熱線がイグル通りで香ばしいパンのにおいを吹き出していた。そしてそのオーブンの前に、一人の若い男が立っていた。男は頭に濃い灰色のビーニーを深く押し、首にはふわふわと見えるクリーム色のニットマフラーを巻いていた。紺色のセーターの上に付け加えた茶色の革エプロンには、白い小麦粉の汚れが自然に埋まっていた。男は大きな木のパドルを使ってオーブンの中で焼き上げられたばかりのパンを上手に取り出していた。
パン板が出るやいなや吹き出てくる熱いキムとバターの香りが換風機に乗って外路地まで濃く広がってきた。蝶は私も知らずに乾いた針を飲み込んだ。凍った船がしゃがみながら揺れを打った。ところがその瞬間、男がパン板を棚に下ろして汗を拭くためにビーニーを軽く持ち上げた。店内の暖かいオレンジ色の照明が男の顔を正面に照らした。ガラス窓の外で息を殺して眺めた蝶のエメラルド色の瞳が一瞬大きく拡大した。男の顔。鋭く、細かい顎線、濃い眉毛の下に深く、深い目つき。
しかし彼の左目の上に、額から頬まで長く続くはっきりとした傷跡が刻まれていた。そして男の左目は焦点を失ったまま薄暗くなっていた。 「あの人も…私と同じです」
蝶の小さな胸の中で言い表せない戦率が起きた。一目。人間の世界でも完全な身体は差別と偏見の対象だったはずだった。路地を歩いて数多くの人間を見たが、自分のように左目に深い傷を持ったまま黙々と闇に耐えている人間を見たのは難生初だった。男は片目だけで世界の光を見ていた。彼の曲がった背中と静かな手のノリから染み出る深い孤独と寂しさ。それは煌びやかな冬の夜、しわくちゃのラーメン箱の中で丸まったまま自分自身を慰めた蝶自身の孤独にとても似ていた。
その時だった。パンを整理していた男が不賢そうに視線を向けた。ガラス窓の下側に結ばれた城を越えて、自分を突き抜けて見つめている小さな黄金色の毛束を発見したのだった。男の動きが止まった。蝶はびっくりして後ろに戻ろうとした。人間と目が遭遇したときに逃げなければ、いつも飛ぶのはほうきや石垣だけだった。長猫の長い生存本能が全身の筋肉を緊張させた。後ろを叩いて尾を足の間にきつく巻き込んだ。だが、男は音を立てたり、猿を拾ったりもしなかった。
男はゆっくりと、非常にゆっくりとベーカリーから降りて、窓ガラスの前に歩いてきた。そして膝を曲げて座り、冷たいガラス窓に私の顔を近く持って行った。二人、いや人間と猫の視線が透明なガラス窓を挟んで虚空で突き当たった。男の聖なる右目と、蝶の澄んだ右目がお互いに向かい合った。そして二人の存在の傷口は左の顔が鏡のように向き合った。男の口元にとても薄くて柔らかい笑顔が広がった。それは嘲笑や嫌悪の目つきではなかった。
自分のような痛みを経験した者だけが建てることができる、深く暖かい理解と思いやりの微笑だった。男はガラス窓に向かって少し手を上げて見えた。厚くて固い肉が薄い凛とした手だったが、その手振りにはやつを傷つける意図が追悼もないということが完全に伝わってきた。蝶は逃げようとした足を止めた。冷たい雪畑の上に固まってしまった小さな綿の網が足裏で、ガラス窓の向こうから吹き出てくる言葉のないぬくもりが伝わるようだった。
「ニャオン…」
蝶は生まれて初めて、人間に向かって警戒心のない小さくて柔らかい声で泣き出した。冬の夜の過酷な寒さの中で、2つの傷ついた魂が初めてお互いの存在を知った奇跡のような瞬間だった。夜明け2時、屋上の上の世界は地上とは全く違う秩序に動いた。地上が人間の法と規律、所有と排他でいっぱいの空間であれば、
屋根と壁につながった空中の道は、ただ風と月光、そして長猫だけの自由な王国だった。蝶は煙突のそばの目を打ち明け、座って静かに周囲を曲げた。片目で世界を眺める猫には独特の感覚の歪みが起こる。深さ感(Depth)が消えた2次元の視界は最初は極度の恐怖を抱えてくれたが、3年の歳月が流れた今はむしろ物事の本質をより透明に見つめさせてくれた。距離感が消えたのではなく、物事の輪郭と光のコントラストは、2つの目のときよりもはるかに明確で強烈に網膜に刻まれています。下の路地を照らすナトリウム街路灯のオレンジ色の光倍(Aura)、
屋根瓦の先端に結ばれた雪片が月光を浴びて壊れる青みがかった銀色の破片、
そして煙突から跳ね上がる灰色の煙の柔らかい軌跡…蝶に世界は一幅の巨大な水墨画であり、光と闇が交差する魔法のキャンバスだった。 「人間はどうしてあのように狭い箱の中に閉じ込められて生きていくのだろうか」。
蝶は消えた2階の窓を眺めながら考えに浸った。厚いカーテンで窓を覆い、扉をしっかりと歩いてロックしたまま生きていく人間たち。彼らは暖かいボイラーとふわふわのベッドを持っていたが、夜空を彩った天の川の眩しさも、冷たい月明かりが毛を漂う爽やかな戦率も知らない。彼らは多くを所有するために一日中疲れた体を導き、働き、お互いを不信感と高いフェンスを築きます。蝶はたとえ持っているもの一つない片目が長猫でしたが、
この夜だけはソウル城北洞全体を足下に置いた皇帝より自由だった。月明かりをふとんにして、風を脱いで生きていく野生の魂。もちろん、その対価で行わなければならない寒さと飢えは過酷だったが、自由とはいつもそれにふさわしい重量を要求する方法だった。その時、屋上の角を越えて小さな人気ふりが感じられた。ひげが細かく震え、空気の流れを読み取った。買うだけの軽い足音。雪に覆われたスレート屋根に乗って近づいたのは、この近所で最も年齢の多い老灰色猫「インスピレーション」だった。インスピレーションは片方の耳が引き裂かれていて、尾の先端がくっきりと切られた巧妙な道の上のベテランだった。 「雪片のやつ、ここでまた月見をしていたんだ」
心に強く訴える声で泣いた。蝶は頭を回してインスピレーションに向かって雪の挨拶を渡した。 「インスピレーション、まだしなかった?」
「こんな殺人的な寒さに眠りになるだろうか。インスピレーションは蝶のそばに近づき、毛を浮かべて並んで座った。 2匹の老くて傷ついた猫が屋根の上に並んで座って冷たい冬の月を眺める光景は、それ自体で一便の詩のようにずっしりと切ない。 「それでも君はすごい。あの猛烈な野鳥の群れの中に飛び込んで若いピットを生かして片目を失っても…こんなにしっかり生き残ったからだ」
インスピレーションの声には蝶に向けた深い尊敬が込められていた。蝶は静かに微笑んだ。 「生きているから。息がついている限り、あきらめることはできないじゃないですか」
「そうだ。私たちのような美物も神の被造物であり、生き残ること自体が祝福なのだが、気をつけろ、雪片だ。丘の下に新しくできたパン屋の青年…人の手をあまりにも簡単に乗らないで。人間とは気まぐれな仲間たちだから」インスピレーションのアドバイスに蝶はふと私の下で暖かい黄色の光を吹き出している「クリスマスパン」パン屋を見下ろした。その青年の目つき。自分と同じように左目に深い傷を抱いていたその男の寂しくて優しい目つきは、決して気まぐれな人間の偽りの笑顔ではなかった。
蝶は中に静かに振り返った。 'いいえ、インスピレーション。その人は違います。その人の目には…私と同じ悲しみがありました。」月明かりが白く注がれる屋根の上は猫に思索と祈りの祭壇だった。人間たちは猫がただの獲物を救って眠る本能的な獣に過ぎないと思うが、
長年の道の上で夜空の星を眺めながら生きてきた猫たちには、人間に劣らない深く崇高な魂の理由が存在した。蝶は煙突の陰の中に身を寄せ、冷たい月明かりをじっと見つめた。やつの澄んだ右瞳の中には銀色の月とともに北斗七星のスクープ状星座が鮮明に結ばれていた。空に浮かぶ星たちは、長猫に道を案内するコンパスであり、まず虹橋を渡った先祖猫たちの魂が輝く瞳でもあった。 「占い兄さん、ちらつきがすごい…そこは暖かいですか?」
蝶は空に向かって心の伝言を浮かべて送った。昨冬、寒さと飢えに勝てず、ゴミ箱の横で凍ったまま発見された昔の仲間たち。彼らの肉体は土に戻ったが、彼らが蝶に教えてくれた生存の知恵と義理は、やつの骨節の中にまだ生きて息づいていた。 「男のために怪我をするのを恐れてはいけない、ちょっと。猫に生まれ、私の体だけを買う。死ぬのは恥ずかしいことだ。
野鳥たちに耳を開けながらも子猫たちを守っていた老いた鍛冶屋猫の点滅が息をする前に残した言葉だった。蝶は巻かれた左目を前足で殺す。野犬に目玉をはがして出て行ったその夜の激しい痛みがズマなどのように通り過ぎたが、やつの胸の中に後悔はただ一気に残っていなかった。自分の片目を捧げて生かしたその幼いピットの赤ちゃん猫は、今頃、ある暖かい家庭で愛される伴侶墓になり、ふわふわのソファの上で短眠をしているはずだった。
それだけでも蝶の傷は十分に補償されても残った。月が西空に傾き始めると、城北洞の瓦屋根が青みがかった夜明けに染まり始めた。蝶は屋根の端に近づき、体を下げました。私の下の丘の隅で、もうすぐ「クリスマスパン」のパン屋の煙突に暖かい煙が咲く時間だった。その優しい青年がオーブンの火を止める時間。蝶は胸の中にときめくぬくもりを抱いたまま、朝を迎える準備を急いだ。瓦屋根の上に降り注ぐ月光は単なる照明ではなく、空が降る銀の祝福だった。
蝶は屋根の軒先に慎重に四足を踏みつけ、足の裏の感覚をテストしました。凍ったスレートは氷板のように滑りやすいが、やつの鋭い爪は微細な隙間をつかみながら一歯の揺れもないバランスをとった。片目で生きていくというのは、世界との果てしない妥協であり、新しい感覚の創造だった。人間はしばしば障害を失った欠損としてのみ規定していますが、
自然の中の命は、欠損の場でいつも新しい感覚の花を咲かせる方法だった。蝶に閉じた左目はもはや痛みではありませんでした。風の方向をより敏感に感じる肌になり、
小さな音も見逃さない鋭いアンテナとなり、
何より他人の苦痛と欠乏を一目で見つめる慈悲深い心の目になっていた。 「私の下にパン屋の青年の目つきの中に惹かれていた悲しみ…」
蝶は丘の下の角を見下ろして青年の姿を思い浮かべた。彼の左の顔に刻まれていた赤くて太い傷跡。青年も世界の数々の視線と偏見の中で男の子を涙を流したはずだった。たぶん青年もこの冷たい都市の真ん中で、自分のように誰も知らない孤独な箱の中に閉じ込められ孤独な息を休んでいたのではないだろうか。 「ニャオン…」
蝶は残念な泣き声を夜風に乗せた。同じ傷を抱いた二人の存在が巨大な都市の一角で会ったということ。それは決して偶然ではなかった。寒さと孤独が結んでくれた必然であり、お互いの凍った魂を溶かしてくれるという冬空の秘密の眼鏡だった。明け方の月が西山に傾いて、北朝鮮山の尾根を越えて薄い紫色の西光が映り始めた。新しい朝が近づいていた。月明かりが銀色の網のように屋上に降り注いだ。蝶は煙突のコーナーを回ってスレート屋根の最も高い龍床の上に登った。
足下に広がった城北洞とソウル江北一帯の夜景は眩しいほど美しかった。白く雪に覆われた韓屋瓦が波打つようにつながっており、あの遠くにヘファドンと鍾路の超高層ビルがとても甘いネオンサインの光を夜空に彩っていた。片目で眺める夜景は、まるで精巧な立体絵本を一ページずつ渡してみるようだった。両目で見た時は思わず過ぎた些細な光の震えが、右目一つに集中し、魔法のように鮮明に近づいてきた。屋根裏部屋の窓の隙間に映る暖かい白熱灯、
路地をゆっくりと戻ってくるパトカーの赤く青い光光灯、
そして、夜空を静かに飛ぶ冬の渡り鳥たちの暗い羽根。蝶は静かに座って夜空に載せてくる音に耳を傾けた。人間の世界は日中の喧騒から離れて深い休息に浸っていた。ある家の窓際では、赤ちゃんを癒す母の子守歌の音が低く流れてきて、
別の家では、古い老人の乾いた咳の音が哀れに聞こえてきた。そのすべての音が雪に覆われた路地の静的の中で一つの巨大な命の交響曲を成していた。 「ニャアオン…」
蝶は空に向かって小さく答えた。世界は寒くて冷静に見えるが、その冷たい殻の中にはそれぞれの大切な命が温もりを分けて生きていた。自分もやはり片目を失った見えない長猫だが、
この偉大な命の交響曲の中で決して抜けてはならない一つの美しい音符だった。蝶は胸の中に冷やす自尊心と平和を感じ、夜明けが明るくなる屋根の上で静かに朝を待った。屋根の上の世界は風の長さの月明かりの領土でした。蝶は屋根の軒先に多少の場所が座って北朝鮮産の裾から吹く冬の風を全身で迎えた。猫のひげは24個の感覚細胞からなる精密なレーダーでした。風が吹く角度と気圧の微細な変化を読み、やつは明日の天気と路地の隅々の動態を予め把握した。 「片目で見る世界は本当に奇妙ではない」。
蝶は静かに目を点滅しました。左の漆黒のような暗黒と右の眩しい銀色の世界。その極端なコントラストはむしろ人生の両面性を教えてくれた。光のあるところにはいつも暗闇があり、悲しみのあるところにはいつも慰めのぬくもりが宿る法だった。自分の閉じた左目は単なる欠損ではなかった。それは見えない魂の世界を見つめるもう一つの心の窓だった。その遠く、韓屋屋根の上に長猫の一匹が飛躍するシルエットが見えた。月明かりを灯して虚空を分けるそのエレガントな曲線。
長猫たちは貧しくて恥ずかしい境遇であっても、決して自分の気品と柔軟性を失わない。神が猫にプレゼントした完璧な身体比と高潔な沈黙。蝶は尾を生き返らせ、その姿をとても見守った。東枠が近づくと、夜空の濃い藍色が徐々に薄くなり、銀灰色の余命が広がっていった。新しい一日が始まろうとしていた。夜明け3時の静けさは、都市のすべての繁栄を浄化する神聖な時間でした。蝶は屋根の床から降りて、古いレンガの煙突の横にきちんと座った。煙突から流れ出る微弱なぬくもりがヤツの凍った脇腹をやさしく包んだ。
「星は本当に晴れもしない」
蝶はシリンの夜空を見上げた。街の明かりが頻繁に見られると、普段は見えなかった何千もの小さな星が天の川をなして降り注ぐように輝いた。猫の目は暗闇の中で光を増幅するタペトム(Tapetum Lucidum、反射板)を持っており、微細な星光でさえ、勇敢な宝石のように捉えられた。片目で眺める星座は、まるで空に刺繍された神秘的なクモの巣のようだった。蝶はその星の光を眺め、先に去った道の上の兄弟たちのために静かな祈りを上げた。
生きているということは、それ自体が祝福であり、聖なる義務でした。蝶は冷たい夜空を深く吸い、近づく夜明けに向かって固い目つきを送った。屋根の上に降る雪片は、空が夜空に捧げられる銀色の標本だった。蝶は煙突の角に座って雪片が一つ一つが鼻の先端に触れてサルル溶かす風合いを吟味した。猫のひげは雨滴と雪片の重ささえ感知できるほど繊細だった。冷たい水滴が毛根を刺激するたびに、やつの脳裏ではいろいろな感覚の花火が握りしめられた。
「この冬が過ぎるとまた花が咲く春が来るだろう」
蝶は心の中で近づく季節を描いた。路地の道の上に黄色いレンギが流れるように咲き、暖かい春の日の下に船を敷いて横になって昼寝ができる日々。たとえ今は肉には寒波と飢えが全身を押しつぶしているが、
冬に耐えた者だけが春の絆を味わう資格のある法だった。蝶は唯一の右の瞳を輝き、近づく希望の明日に向かって深い骨骨凰を蹴った。月明かりが白く砕ける城北洞の瓦稜線。蝶は屋根の軒先に立って夜空を彩った無数の星を眺めた。視力を失った左目の暗黒の中でも、心の目は全宇宙の燦爛な天の川を完全に抱いて抱いていた。自由というものが多くて得られるのではなく、自分の欠乏を完全に肯定する時に初めて咲く魂の花だった。蝶は深く濃厚な息を吐き、近づく夜明けに向かって堂々と頭を上げた。